George Frideric Handel  MESSIAH    古楽器

古楽器
古楽器って何ですか?

西洋音楽における古楽器とはひとことで言うと、200年から300年ほど前の楽器もしくはそのレプリカ、ということになります。古楽器という呼び方以外に「バロック楽器」又は「オリジナル楽器」と言うこともあります。

ヨーロッパにおいて18世紀までの音楽と19世紀からの音楽は大きく変わりました。
18世紀までは王侯貴族のための宮廷音楽が主だったのに対し、19世紀からはベートーベンが先駆けとなって音楽の大衆化が起こりました。必然的に大きなコンサートホールでの演奏が可能なように楽器の構造もどんどん強くなって行かざるを得ませんでした。

弦楽器に限って言えば外観上はあまり分かりませんが例えば古楽器では弦はガット弦、弓はモダン楽器と反りかたが逆でアーチェリーの弓のような形をしています。 張力が弱いので音量はやや小さく、基本的にあまりビブラートをかけないのでシンプルで渋い響きに聴こえます。もうひとつ重要な点は「チューニングが異なる」ということです。 現代はピアノのまんなかのの「ラ」の音が440Hzですが古楽器では415Hzです。 具体的にはちょうど半音低いのです。

 20世紀の半ば頃より、バッハやヘンデルの時代の音楽は当時の楽器を用いて「当時鳴り響いたように」演奏するのが最も良いのではないか、という考えが台頭してきました。
(バッハやヘンデルがもし現代の楽器を知ったら当然こちらで演奏するよう希望するだろう、という反論もありますがそれはさておき・・・)ヨーロッパではホグウッド、ピノック、ガーディナー、アーノンクールなどの人達が古楽器で演奏する団体を作って活動を始めました。

日本でも今でこそコレギウム・ジャパンなどの優れた団体もありますが、はじめの頃は保守的な日本の楽壇の強い抵抗がありました。 ある高名な老ピアニストが「君、バッハの作品をピアノでなくチェンバロで弾けとは一体何事ですか」と激昂した、という有名な話があります。

日本での古楽器の草分けは1963年に延原武春が始めた「大阪テレマン協会」です。 もちろん彼らも最初はモダン楽器だったのですが、1975年頃より古楽器を本格的に始めました。

1995年の「第9回十勝ひろびろ音楽祭」で彼らを招聘し、帯広にはじめて古楽器の雅やかな音が鳴り響きました。彼らは状況に応じて古楽器と現代楽器(モダン楽器)を持ち替えます。

2000年12月のモツレクのときはモダン楽器でしたので「テレマン室内管弦楽団」でしたが今回のメサイアでは古楽器になるので「コレギウム・ムジクム・テレマン」と楽団名が変わります。作間先生の「できることなら古楽器で」という希望をお伝えしたところ「喜んで」と叶えられたものです。


 今回のメサイア、古楽器での演奏こそコレギウム・ムジクム・テレマンにとって真骨頂であり自家薬籠中のものと言えましょう。 北海道では恐らくはじめての試みであろうし、我々にとって極めて貴重な経験になることは間違いありません。